お知らせ・イベント

新年あけましておめでとうございます

 はらからの原点に立ち返ろう

武田理事長 写真

 

 

 

はらから福祉会 理事長 

武田 元


 明けましておめでとうございます。平成27年の幕開けです。


 昭和58年、無認可の「はらから共同作業所」を開所してから33年、法人認可後初めての認可事業所「蔵王すずしろ」が開所してから18年が過ぎようとしています。今までの30年を振り返り、これからの30年をどう進むのか、整理する時期が来ているようです。


 この30年ひたすら求め続けてきたのは働くことです。例えどんなに障害が重くとも働くことは人間にとって最も基本的な営みであり、働くことを抜きにして生き生きした人生は送れないという考え方から、仕事の量と質及び賃金(工賃)の保障を事業運営の目標に掲げてきました。「目指すは月額工賃7万円」をスローガンに全力で取り組んできました。そのゴールは果てしなく遠い、未だにそう思います。しかし、見えてきました。おぼろげながら見えてきました。


 おぼろげながらということは、まだ解決できていない問題があるということです。二つあります。一つ目は事業の確立です。昨年末、はらから福祉会の利用者は約300名です。8事業所に分かれて仕事をしています。法人が目指す目標への見通しがついたところからまだのところまでそれぞれの事業所の到達点はバラバラです。しかしこの30年間の取り組みから事業の展開と利用者支援との関係で分かったことがあります。全事業所に共通することです。それはその事業が具体的な仕事の量と質をどの程度準備できるのか、そして賃金(工賃)はいくら支払うことができるのか、そのことが利用者支援と密接に関連しているということです。


 端的に言えば、やるべき仕事があって、その仕事や完成品に魅力があり、それに賃金(工賃)が保障されればほとんどの人は仕事に集中するということです。このことははらからの歩みでいえば、多分こうだろう(仮説)と考えながら取り組んできたことが実践的に証明されました。要はいかにして賃金(工賃)7万円を全利用者に支給できる仕事の量と質を準備できるかです。問われているのはこのことです。そしてこれに応える道が、はらからがたどってきた今までの道の延長線上にあるのかどうかです。ここの検討が必要です。


 残すものは何なのか、捨てるものは何なのか。時代の流れは間違いなく私たちに大きな影響を及ぼします。直近のことで言えば消費税の税率アップも円高も深刻な事態を招きました。利用者職員併せて約400人の集団になったはらから福祉会は最早前年度踏襲の繰り返しでは対応できなくなってきています。10年先、20年先を見据えた事業はどうあるべきか緊急課題です。


 二つ目は重度の利用者さんへの対応の不十分さです。はらから福祉会の利用者支援の方針は明確です。例えば仕事をするとき利用者は、人間はと置き換えてもいいのですが、次の3点を願っているというのが基本的な考え方です。



 ① みんなやりがいのある仕事をしたいと思っている。
      やりがいのある仕事は、人の役に立つと言い換えることもできます。


 ② みんな認めてもらいたいと思っている。
      承認は存在証明です。なくてはならない存在です。


 ③ 仕事をして報酬をもらい、自立した暮らしがしたいと思っている。



 自立した暮らしとは自分らしい暮らしです。自分でできないことは援助してもらいます。すべてを自分できるようになることではありません。


 くどいようですが、例えどんなに障害が重かったとしてもです。しかし、この考え方に確信を持ちながら、未だ実行できないでいるのが現実です。障害と働くことの関係に関する研究が必要です。障害が重い人への仕事の量と質そして賃金の保障を可能にするための方法はどうあるべきか、この道筋がはっきりしたときゴールは見えたと言えるのだと思います。


 さらに新たな課題も見えてきました。それは暮らしの部分です。親が高齢になったり亡くなった後の暮らしをどうするのか、だんだん現実的になってきました。はらから福祉会には8ケ所のグループホームがあり、現在39名の方が生活しています。1か所5名ずつの入居、世話人一人ずつの配置、身辺処理の自立が入居条件、等々がこれからの30年を考えたとき果たして適切なのか検討が必要です。


 今、私たちは「はらから」の原点に立ち返りあらたなスタートを切るべき時に来たようです。私たちはどこへ行くべきなのか。この答えを出したいと思います。


 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 

◀ 前のページに戻る