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はらから福祉会 職員研修 (報告)

  障害者雇用の現状と課題(知的障害者の雇用を進めるために) 

ハローワーク大河原所長 氏川弘幸 氏をお迎えして

 去る9月8日、はらから福祉会職員研修の一環として、ハローワーク大河原所長、氏川弘幸氏をお迎えして、知的障害者の就労に関する研修会が行われました。

氏川所長の経歴について

 講師にお迎えした氏川所長は、昭和31年旧栗原郡高清水町に生まれました。物心ついた頃から、地域に知的障害者の友人がいて、自分の中では障害者とつきあうことになんの不思議も抵抗もなかったそうです。しかし、当時は障害者に対する周囲の理解は今ほどではなく、身内の母親からも「あの子と付き合うな。」と言われました。そのことに納得いかない氏川所長は、それでもその友人との関係を断つことがありませんでした。そのうち、母親も友人を自宅に入れ、おやつを振る舞うなど違和感なく接するように変わっていったそうです。


 労働省入省後は気仙沼、志津川、仙台、大河原、大和、塩釜などの公共職業安定所で勤務されました。お仕事の中でも幼少の頃の体験から、障害者の雇用問題はいつも頭の中にあり、一般企業への障害者雇用を推進されてきました。大河原での勤務時に養護学校(支援学校)の先生と共に企業開拓を行ったことは苦労もあったが忘れられない経験だったといいます。当時、障害者雇用を始めていただいた仙南のいくつかの企業では、十数年の時を経て、毎年障害者雇用の計画を立て、社内でも障害者がより働きやすい環境づくりに社をあげて取り組んでもらうまでに意識が高まってきたそうです。氏川所長の働きは、仙南地域の障害者雇用(開拓)の先駆的なものと言えます。


 その後、青森県三沢市の方に異動され、ここでも地域の行政を巻き込んだ障害者の就労ネットワークづくりに尽力されました。行政職員がもっともっと本気で取り組めば地域は変わると感じたそうです。

仙南地域の障害者雇用の現状について

 現在、大河原ハローワーク管轄地域(仙南2市7町)の有効求人倍率は0.60と数字上は県内最低です。障害者の就労はさらに厳しい状況です。ですが、関係各位の取り組みにより、数字には表れない成果も上がっています。例えば東京に本社があり、宮城に工場がある会社では、雇用した障害者のカウントは本社のある東京でカウントされます。しかし、実際何十名もの障害者が働く場は宮城にあるのです。これは数字上はでてきませんが、実際働く場所は県内にあるのです。また、中小企業で雇用された障害者が、離職せず長く勤務しているのも特徴です。中小企業経営者のみなさんが、それだけ社内の障害者就労に心を砕いていただいている証だと思います。とはいえ、全体を見れば、一般企業の障害者雇用の意識は、まだまだ高くないと言われます。
 そして氏川所長は講話の最後にこう言われました。

「障害者就労を実のあるものにしていくには、まず身近にいる人の意識を変えてください。一人が一人の意識を変えることで、全体の意識が変わるのです。」

はらから福祉会では

 はらから福祉会では、蔵王すずしろ、びいんず夢楽多、くりえいと柴田、みお七ヶ浜、登米大地、はたまき手づくりの里、えいむ亘理で就労移行支援サービスを提供しています。就労移行支援サービスは、標準2年間の期限内で一般企業への就労を目指すものです。しかし、通勤手段の問題などで、よい求人があっても断念せざるを得ないこともあります。さらに一般企業への就労が進まないと、各事業所の定員がいっぱいになり、支援学校新規卒業者の受け入れが厳しくなってしまいます。

 就労移行支援サービスなどの障害福祉サービスも、一般企業にはまだまだ認知されていない状況です。企業側への情報発信も、積極的に行っていく必要があります。

 今回の研修では、すぐにでも行える実践のヒントをいただき、はらからでも就労移行支援サービスに、今以上に頑張って取り組んでいく必要があると職員一同強く感じた研修会でした。


 ご多忙の折、貴重なお話をいただきました氏川所長に心より感謝申し上げます。

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